言語発達遅滞研究第1号言語発達遅滞研究第3号

 

 

言語発達遅滞研究第2号(1995年7月発行)

目次
編集後記

目次

原著論文

言語獲得における初期認知過程と社会的相互作用
−記号発生論的視点から−
 鹿取廣人   帝京大学

<S−S法>の形成について−言語発達遅滞の1臨床的アプローチの歴史−
 小寺富子・倉井成子・山田麗子
  国立身体障害者リハビリテーションセンター

言語発達遅滞児のコミュニケーション
−I群段階1の症例S.U.およびII群段階5−1の症例I.Y.を通して−
 倉井成子・小寺富子 国立身体障害者リハビリテーションセンター

受信行動成立の前段階
−事物の基礎概念におけるスモールステージ−
  佐竹恒夫   横浜市総合リハビリテーションセンター

発語困難児における図形シンボルを用いた言語訓練
−4症例からの一考察−
  林耕司   長野赤十字病院

症例報告

音声発信困難な脳性マヒ児に対する言語訓練
−写真,絵,絵記号および図形記号を用いて−
  宇都宮由美   横浜市総合リハビリテーションセンター

移行群に停滞した1症例について
−音声記号未習得群から移行群を経てC群に至った経過−
  原広美   横浜市戸塚地域療育センター

音声発信困難な言語発達遅滞児の言語訓練
  藤田修成・那須道子   八千代市ことばと発達の相談室

難聴などを伴う精神運動発達遅滞児へのアプローチ
−初期家庭療育指導の試み−
  佐場野優一   福島県心身障害児療育センター

研究報告

行動形成に関する試論−先行化・文脈・コンフリクト−
  佐竹恒夫   横浜市総合リハビリテーションセンター

編集後記 佐竹

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編集後記

 本論文集は,1994年7月に開催した第2回言語発達遅滞研究会学術講演会での発表をもととする論文を中心に編集した。

 「シンポジウム <S−S法>の源流」では,私たちの臨床の基盤を確認し深化させるため,理論的な面について鹿取氏から,<S−S法>の成立過程について小寺氏から講演していただき,その後ディスカッションを行った。

 「言語獲得における初期認知過程と社会的相互作用:記号発生論的視点から 鹿取 廣人」「対ひと」・「対もの」関係とその発達的な関連性,時間的・空間的な間接化により記号行動が生起することなど,言語・コミュニケーション行動の発生について包括的にまとめられている。本稿で述べられている視点は私たちが共有するものである。それとともに常に臨床の場から離れず,理論と臨床を往還しながら思考を組み立てるという態度は,私たち臨床家にとって基本的な態度であり受け継ぎたい。

 シンポジウムの発言でも,「ピアジェ批判」や,お孫さんの汽車のエピソードの重ね合わせなど興味深い視点が示されているので,あわせてご覧いただきたい。この論文をきっかけとして関連する膨大な研究論文など触れていただきたい。

 「<S−S法>の形成について −言語発達遅滞の1臨床的アプローチの歴史 小寺富子・倉井成子・山田麗子」
<S−S法>という名称を用い始めて4年がたつが,この臨床的なアプローチは20年以上にわたって徐々に形成されたものである。本稿により「1臨床的アプローチ」の土台ができ,骨組が立ち上がり,屋根や壁ができ,とそのプロセスを追体験することができる。私たちの日々の臨床がこの創造のプロセスへの参加することでもあろう。これにより単に過去を回顧するのではなく,この臨床的アプローチが生まれてくる臨床的・理論的な背景について再度考える機会としたい。

 「言語発達遅滞児のコミュニケーション −・群 段階1の症例S.U.及び・群 段階5−1の症例I.Y.を通して− 倉井成子・小寺富子」<S−S法>では,言語行動の3側面の1つとしてコミュニケーション態度をあげている。本稿ではコミュjケーションに関して基本的な概念を整理し,臨床的な働きかけの具体例を報告している。特に音声記号未習得児では,基礎的な事物概念の形成や協約的な記号の獲得がコミュニケーション機能の拡大に重要な役割を果たす点が強調されている。本稿で整理された視点をもとに,コミュニケーションをテーマとする臨床研究を活発に行っていきたい。

 「受信行動成立の前段階 −事物の基礎概念におけるスモールステージ 佐竹恒夫」音声記号未習得期の言語発達遅滞児への働きかけについて,新たなスモールステージなどを提案し,具体的なテクニックにも触れ,さらに初期に獲得される心的構造のモデルを提示している。今後本稿で示されたスモールステージや概念をA群(音声記号未習得)の子供に適用し,その有効性を検証し発展させる必要がある。

 「ワークショップ NSLその他の視覚的コミュニケーション手段」では,代替的・補完的なコミュニケーション手段を中心に発信手段について,症例に触れながら報告とディスカッションを行った。

 「発語困難児における図形シンボルを用いた言語訓練 −4症例からの一考察− 林耕司」図形シンボルシステムNSL88を補助代替コミュニケーション手段として用いた4症例を紹介し,NSL88の有効性について検討している。林氏はNSLの適用目的として,・代替コミュニケーション手段として,・一時的代替的コミュニケーション手段,・補助コミュニケーション手段,という区分を提出している。これは症例の評価に基づき,適切な発信手段を適切な目的(ゴール)のために導入するという意味で重要である。また林氏から提案された,NSL88などの視覚的記号を一時的代替的コミュニケーション手段として用いるという訓練プログラムは有効であり,広く活用することができると考えられる。今後NSL88を初めとする視覚的記号を運動障害を含めた言語発達遅滞児に適用する臨床研究が活発に行われるよう期待したい。

 「音声発信困難な脳性マヒ児に対する言語訓練 −写真,絵,絵記号および図形記号を用いて− 宇都宮由美」
脳性マヒ児の多くは知的な障害を合わせ持ち,運動障害と精神遅滞の重複障害である。そのような子供には運動障害を考慮した発信手段とともに,精神遅滞・言語発達遅滞を考慮した言語記号(記号形式−指示内容関係)を提供する必要がある。本稿では運動障害と精神遅滞を合わせもつ脳性マヒの症例に,NSLを含めた写真,絵,絵記号および図形記号を用い実用的なコミュニケーション手段を提供した。

 なおワークショップで発表した「脳性麻痺を伴う言語発達遅滞児の発信行動の習得過程 知念洋美」は他誌へ投稿するため掲載しない。

症例報告
 「移行群に停滞した1症例について 原広美」
A群(音声記号未習得)時から訓練を始め,移行群を経てC群(生活年齢に比し遅れ)に至った症例の報告である。特に移行群は新しい概念であり,移行群期の症例に関連する貴重な報告である。

 「音声発信困難な言語発達遅滞児の言語訓練 藤田修成・那須道子」重複障害の子供に身振り・文字・音声記号を適切に組み合わせて用い,発信行動を獲得した。身振りから音声への移行,音形の問題を改善するため文字を媒介として用いる訓練プログラムなどが適切になされている。
原氏・藤田氏の論文はともに,子供が変化するにつれゴールと訓練プログラムを立案し直す作業の重要性を再確認させる。

 「難聴などを伴う精神運動発達遅滞児へのアプローチ −初期家庭療育指導の試み− 佐場野優一」
高度難聴と重度の精神運動発達遅滞の重複障害の症例に補聴器を装用するだけにとどまらず,対人・対物相互交渉の拡大を図るプログラムを実施し訓練経過を報告している。ともすれば常同行動として見過ごしてしまうファンヒーターの感覚遊びを,予期的行動に結びつけるなど,家庭内の身近な道具を療育に用いて家庭療育を行っている。また種々の行動に停止(中断)を挿入することで他者との遊びに変容させるなど,原則をケースバイケースで応用していく柔軟な思考に基づく臨床の見本であるといえる。

 以上が学術講演会の発表をもとにする論文である。

 「行動形成に関する試論 −先行化・文脈・コンフリクト− 佐竹恒夫」
行動形成のプロセスをとらえるために,先行化と文脈およびコンフリクトという概念を示している。今後この概念を用いて臨床を見直すとともに,その妥当性を検証したい。

 来年,1996年には第3回言語発達遅滞研究会学術講演会を予定している。2年に1度というゆっくりしたペースではあるが,日頃の臨床活動を着実に積み重ねる中から創造的な発表を着実に積み重ねていきたい。

 

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